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<福岡2020レポート>「新しい旅のかたち、新しい飲食店のかたち」(株)グローカルプロジェクト 河﨑靖伸さん・大里晃代さん インタビュー

at 2020/06/12

福岡の “いま” を伝える情報コラム <福岡2020レポート> 。

今回は「新しい旅のかたち、新しい飲食店のかたち」と題して、株式会社グローカルプロジェクトの代表取締役・河﨑靖伸さんと執行役員・大里晃代さんへのインタビューをお届けします。


――はじめに、御社がどのような事業を手がけられているのか教えていただけますか?

当社は、旅行企画会社で同僚だった2人で2016年5月に設立しました。当社の事業は大きく分類すると「インバウンド(訪日外国人観光客)をターゲットとした旅行プランの企画や情報発信」と「主に九州内での地域おこしや地域創生に関する事業」の二本柱です。

――観光業の現況について、どういった情報を得られていますか?

国内外への観光目的での移動、海外からの旅行者の受入などについて、今後のステップが見えない状況です。熊本県内では自治体ごとに独自の誘客事業を計画する動きがみられますが、政府が全国を対象に行おうとしている観光促進事業の概要が明らかにならないので、事業の内容や告知の時期が固まらず、関係者の間で焦りや戸惑いが広がっています。そもそも国レベルや自治体レベルにおいて、目標の共有がなされておらず、「誰がいつ何をすべきか」についてコンセンサスが形成されていないのが問題だと思います。

海外諸国の動向を見ても、観光客の受入は、まず国内旅行者からで、徐々に海外から受け入れる流れになることは共通しています。ただ、海外からの旅行者の受入については、出国する国と入国する国の方針や規制の違いがあるため、従来通りの出入国が再開されるまでは時間がかかると考えられます。

事業者ごとの状況としては、飲食店やホテル・旅館、旅行会社などのBtoCの企業・店舗に対しては国や自治体からある一定の支援策が実施されている一方で、それらの企業・店舗から業務を受注してきたカメラマン・ライター・コーディネーター・通訳者などのBtoBの事業者に対しての支援策は手薄であるように感じます。

――昨年から今年にかけて御社が手がけていらっしゃる事業への影響はいかがでしょうか?

あるレンタカー事業者より、タイとマレーシアからの旅行者の利用促進と認知度向上に関するマーケティングとプロモーション事業を受託し、昨年は、両国からKOL(Key Opinion Leader/その分野の最先端にいて際立った情報発信力と影響力を持つ人物=有名ブロガー・コメンテーターなど)を招請し、実際にレンタカーを利用して北海道・九州・沖縄を回ってもらいました。


今後は、訪日客に占めるFIT(Foreign Independent Tour/個人で手配し、海外を自由に旅行する旅行者)の割合が増えてくるでしょうし、家族や友人など気心が知れたメンバーだけでまとまって好きな場所に行けるという点で、レンタカーの利用も増えてくると思います。すでに、台湾・香港・韓国からの旅行者については、日本国内の旅行にレンタカーを利用する人が増えています。昨年まではこうした動きがありましたが、現在は事業が一時中断しており、他のレンタカー事業者においても国内外でのプロモーション再開時期について様子見の姿勢をとっているようです。

――今後、観光業が復調していくために重要なポイントについてどのようにお考えでしょうか?

近ごろ「レスポンシブル・ツーリズム(Responsible Tourism)」という言葉が聞かれるようになりました。直訳すると「責任ある観光」という意味で、昨年10月に大阪で開催された「ツーリズムEXPOジャパン2019」においてハワイ州観光局が大々的にPRしたことがニュースで取り上げられましたので、それでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

宿や飲食店など受入側がガイドラインの整備や対応の改善を進めるのはもはや一般的ですが、その一方で、旅行者のマナーも問われているということです。旅先の住民への配慮や環境保全の一環として、これからは「体調が悪ければ行かない」とか「行った先で衛生面に気をつける」といった旅行者としての責任と自覚が求められるようになるでしょう。

――「観光客が観光地を選ぶ」だけでなく「観光地が観光客を選ぶ」という動きが始まっているということですね。

おっしゃるとおりです。そうしたことから、「文化や歴史といった、その土地の背景を学んでもらい、共感や興味・関心を持ったうえで来てもらう」ことを重視する観光地も増えてくるでしょう。旅行者としても、旅先を“厳選”する傾向が強まり、「とりあえず行ってみたけど、想像していたのと違って、ガッカリして帰ってきた」という可能性を極力減らしたいと考える人は増えるでしょう。

そうしたなかで、最近体験して面白かったのが、香川県高松市の琴平バスという会社が実施している「オンラインバスツアー」です。香川発島根行きのバスツアーをインターネット上で疑似体験できるというもので、催行時間は1時間、参加費は4000円でした。バスの車窓に広がる瀬戸内海の絶景を見たり、現地のお土産屋さんや生産者さんからのメッセージをリアルタイムで受け取ったり、さらには参加しているお客さん同士で双方向に会話をしたりと、本当にバスツアーに参加しているような気分に浸ることができました。また、そのようにして人や地域の魅力に触れることで、「いつか実際にその土地を訪れてみたい」という気持ちも高まりました。

インターネットやIT技術の普及・進化により、このように旅行とエンターテイメントが融合したコンテンツはこれから増えていくでしょう。そして、こうしたコンテンツの良いところは、自宅に居ながらにして旅行体験ができることですが、これは別の見方をすると「健康でないと旅行ができない」という概念を覆すことでもあるのです。

――「年齢や体調に関係なく旅ができ、新たな発見や感動が得られる」というのは本当に素晴らしいアイデアですね。

当社でもそうしたアイデアを形にできないかと考え、オンライン上で旅行体験をしていただくためのリモート「TRAVEL」プラットフォームを考案しました。『たびくる』という名称でFacebookサイトを立ち上げ、「旅をお家にテイクアウト」というテーマで九州各地の絶景や土地の背景について配信しています。目下、一緒にコンテンツを企画・運営していただける事業者さんを募集中です。例えば、「お取り寄せグルメ」を味わいながらオンラインで生産者と「交流」し、その産物が生まれた地域の美しい風景や歴史をオンライン上で訪ね歩く、といったコンテンツを九州の各地域と連携して企画できたらと思っています。


――ここで話題を変えて、今年4月から実施していらっしゃる『福岡博多テイクアウト応援プロジェクト』について伺いたいと思います。

今年3月頃から観光関連の仕事が一時中断する状態になり、そうしたなか、市内の飲食店が店内での営業を縮小するとともに商品のテイクアウトを開始する動きが広がってきました。そこで、自社スタッフが自力でできる範囲で飲食店の支援ができないかと考えたのが企画の発端です。

4月3日にFacebookサイトを開設し、今日(2020年6月9日)現在で、462店の登録があり、6800名を超える方々にフォローしていただいています。

登録料無料でテイクアウト商品や店舗の情報をテキスト・画像・マップの形で掲載し、テイクアウト実施店のポップや張り紙なども独自に作成して自由にダウンロードして利用いただけるようにしたので、飲食店の皆さんからは大変喜ばれました。また、利用者の皆さんからは「飲食店を応援するきっかけになった」「引っ越してきたばかりだったので、地元の飲食店を知ることができてとても重宝した」といった感謝の言葉をいただき、それらの反響はとても励みになりました。

また、北九州・熊本・広島・名古屋・大阪・山梨・東京の企業から、それぞれのエリアで「テイクアウト応援プロジェクト」を行いたいという相談を受け、サイトのトップ画面で使用したテーマ画像のデータや店舗情報の収集・記事作成などのノウハウを無償で提供しました。

余談になりますが、店主が年配のため臨機応変な対応が困難なお店には、直接足を運び、ポップや張り紙を設置したり、Facebookへの記事投稿のやり方をお教えしたりしました。こうした経験を通して、これからの時代にはIT弱者のケアが必要不可欠だとあらためて感じました。


――現在の飲食店の状況はいかがでしょうか?

緊急事態宣言解除を受けてイートインだけの営業に戻したお店が、再びテイクアウトを始めるといったケースも少なくないようです。これからはイートインとテイクアウトの両立が基本となり、イートインで味わえないようなものをテイクアウト限定で販売する、といった工夫も求められるでしょう。際立つクオリティのテイクアウト商品を新たに開発・提供する飲食店も増えてきています。さすが飲食店のレベルが高い福岡ならではと感じますし、「福岡テイクアウトグランプリ」のような企画を展開しても面白いのではないかと思います。

――最後に、今後の観光のあり方について何かヒントやアイデアがありましたら、お教えください。

都市型観光とは対照的な、自然や文化・歴史に富んだ地域を訪れてストーリーを持ち帰るような観光のスタイルのが主流になると思います。

熊本県芦北町では、400年の歴史を持つ漁船「うたせ船」を後世に残そうと、地元の人たちがその魅力を伝える取り組みを行っています。この「うたせ船」は、大きな白い帆をふくらませながら風を受けながら進み、その船体が紺碧の不知火(しらぬい)海に浮かぶ様子は、まさに白いドレスでおしゃれした「海の貴婦人」。観光客向けに運航される「観光うたせ船」に乗船し、帰港後、漁師の奥様方が腕を振るう食事処「えび庵」で、獲れたての海老や太刀魚を使った料理に舌鼓を打つ、という体験型観光コースも企画され、好評を博しています。


また、同じ熊本県の水俣市では、ここ数年の間で、観光の目玉が「海を見せる」「地元の食材を食べてもらう」といった方向にシフトしています。水俣市では、海洋汚染の歴史を踏まえ、環境対策に官民挙げて取り組んだ結果、美しい海でしか見られないタツノオトシゴが生息するようになり、無農薬で栽培される果物や野菜などの人気も高まっています。

また、水俣市街地から約8km山間へ入った湯治場として有名な温泉郷「湯の鶴温泉」には、狭い道路沿いに立ち並ぶ古い民家に個人商店、小さな旅館といった、古き良き湯治場の雰囲気、昭和レトロの風情に魅せられて、都市部からの移住者が増えており、ゲストハウスや飲食店の経営などに携わる事例も見られます。

このように今後は、自分の趣味やライフスタイルに合った環境を求めて旅行者や移住者が地方を回遊するような動きが予想され、観光地においてはより深く、地元の魅力を掘り下げる必要を感じます。これからの社会では、これまでとは全く違った価値観が主流になるでしょう。そうなると新しいことをやっていかないといけない。成功するかどうかはともかくとしてチャレンジすることが大事で、そうした取組を国や自治体がサポートするようなあり方が理想的ではないかと思います。

――本日は、貴重な情報とご意見をいただき、本当にありがとうございました。

■関連リンク■

[取材・編集]  西山健太郎(福岡観光コンベンションビューロー マーケティングマネージャー)

※福岡の “いま” を伝える情報コラム <福岡2020レポート> 
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