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<福岡2020レポート>「SightseeingからPeopleseeingの時代へ」 (株)イベントサービス 会長・森本福夫(Lucky Morimoto)さん インタビュー

at 2020/06/24

福岡の “いま” を伝える情報コラム <福岡2020レポート> 。

今回は「SightseeingからPeopleseeingの時代へ」と題して、株式会社イベントサービスの会長・森本福夫(Lucky Morimoto)さんへのインタビューをお届けします。


――はじめに、御社が手がけていらっしゃる事業についてお教えいただけますか?

ビジネスイベントの総称として「MICE」という言葉がありますが、当社はそのうち、企業系会議・研修・セミナーなどを指す「Meetings(ミーティング)」、報奨旅行とその関連イベントを指す「Incentives(インセンティブツアー/インセンティブイベント)」に加えて、顧客やスポンサーを招待して特別なパーティーや観光プログラムでおもてなしをする「Hospitality programs(ホスピタリティイベント)」を手がけており、それらを総称して「MIH」と呼んでいます。

ちなみに一般的にいうと、MICEのうち、C(Convention・Conference/大会・学会・国際会議)についてはPCO(Professional Congress Organizer)と呼ばれるコンベンションの企画・運営専門事業者、E(Exhibition/展示会・見本市)については展示専門事業者が担うケースが多いです。

ミーティングやインセンティブイベントは、特定の企業が自社の役員や社員を招集・招待して行うビジネスイベントであり、当社においては、企業からの直接受注が約3割、旅行会社や海外イベント会社経由での受注が約7割といった比率です。その旅行会社についても海外の旅行会社と日本の旅行会社の2通りに分かれ、後者においては、受入地でのコーディネートを担う「ランドオペレーター」である場合が多いです。


インセンティブツアーとは、企業がセールスコンテストでのいわゆる「優秀セールスパーソン(=優績者)」を表彰・接待するための団体報奨旅行のことで、旅程に表彰式・表彰デイナー・チームビルディングなどが組み込まれています。ここ数年、シンガポール・香港・中国・タイ・ベトナムなど、アジア各国からのインセンティブツアーが著しく伸びており、業種別では、保険、金融(銀行・ファンド)、自動車、IT,化粧品、医療・薬品関連などが多く、「MLM(マルチレベルマーケティング)」ないしは「ネットワークビジネス」と呼ばれる、消費者へ直接商品を販売する<直販>方式を取り入れた企業による大型インセンティブツアーが定番化しています。

――インセンティブツアーの行程の中で、御社はとりわけ、パーティーやイベントの企画・運営の実績やノウハウを数多くお持ちですね。

何といってもインセンティブツアーのクライマックスは表彰パーティーであり、クライアントの要望も多岐にわたります。当社ではクライアントの要望にあわせて、寺院・神社・博物館などのいわゆる「ユニークベニュー」を会場にしたパーティーのほか、会場装飾・食事・音響・照明・映像・エンターティンメント・参加型ゲームなどの要素を1つのテーマで統一した「テーマパーティー」の企画にも力を入れています。日本らしさを演出するために会場内に五重塔や朱塗りの橋・鳥居などを配した<和風>の演出のほか、<カジノ><クリスマス><アンダーウォーターファンタジー><ハリウッド><ウエスタン>といったテーマを盛り込んだ演出を手がけており、そうしたテーマパーティー用の大道具・小道具を多数展示している「テーマパーティショールーム」を自社で運営し、常時見学を受け入れています。


当社のスタッフはわずか8名ですが、常時一緒にイベント運営を行う熟練した外部スタッフが15名ほどいます。ですから参加者1000名くらいまでのパーティーであれば、当社スタッフは会場に2~3名いれば十分です。会場装飾・舞台設営・音響・照明・映像・ケータリングなどを手がけるいわゆるパートナー会社・スタッフと40年にわたって提携してきた実績があり、事前の打合せと当日のシナリオがきちんとしていれば、社員スタッフがそれだけの人員でも十分運営が可能です。昨年は大小合わせて年間200件程度のインセンティブイベントやミーティングを手がけ、そのうち4~5件は参加者が1000名を超える案件でした。その開催風景を編集したケーススタディ動画を当社のホームページで公開していますので、ご覧いただけたら幸いです。

――インセンティブツアーの目的地として選ばれやすい都市にはどういった傾向があるのでしょうか?

一定の都市機能と宿泊先や会場といった受入環境、そして地理的要件として海と山を兼ね備えた都市が選ばれるケースが多いという印象があります。当社は日本の顧客のために海外でもインセンティブイベントを手がけていますが、オーストラリアのシドニーやアメリカのサンディエゴは人気です。日本では横浜や福岡などがその条件に当てはまりますね。


そもそも日本は多様な文化や歴史といった背景・ストーリーを持つ国であり、海外からのインセンティブツアーの目的地として最も人気がある国の一つです。初めてフランスを旅する際に、まず首都であるパリを訪れるのが一般的であるように、日本を訪れるインセンティブツアーの最初の目的地は東京となるケースがほとんどです。そして2度目の日本は別の都市に・・・となったときに、よく候補に挙がるのが、大阪、京都、札幌、そして福岡といった都市です。「大都市を順番に回ってきたので、次は福岡にしよう」「雪景色が見たいから寒い時期の札幌にしよう」といった感じで、都市の特質を考慮しながらクライアントのニーズに合った都市が検討され、選ばれていくわけです。

――都市としての機能や魅力が求められるわけですね。

おっしゃるとおりなのですが、場合によってはそれ以上に重要なのがツアー・イベントにかかる費用です。主催者である企業側にとっては、当然出費は予算内に収めたいわけですから、海外からのインセンティブツアーやミーティングの受入を増やしたいと思うのであれば、主催者の費用負担が極力少なくなるような工夫が必要です。そうした観点からは、日本国内のMICE施設において、インフラのさらなる整備がこれからの課題です。

一つの事例を挙げますと、パーティや表彰式に使われる映像機器は、かなり前だとスライド映写が主流でしたが、早くからプロジェクターを使用するのが一般的になっており、投影するコンテンツの画質も格段に上がっています。そうなると、そうしたコンテンツを映し出すスクリーンも高機能のLEDスクリーンが必要となります。


ところが諸外国と比べて、日本国内のホテルや会議場はLEDスクリーンを既設しているところが極めて少ないのが現状です。会場になければ、外注するほかありません。機材のレンタル料がかかるうえに、その設置や調整にかかる時間の分だけ会場の使用料も上がり、そうしたインフラの差が要因となって、他国の都市に目的地が変更された例も実際にありました。当社ではLEDスクリーンの中でも設営・撤去時間が極力短くなるように工夫した一式機材を自社で保有していますが、今後設備投資により常設化された会場が増えることを期待しています。外部から持ち込む必要がなくなるわけですから。

――今後、新しい観光のかたちが生まれてくるのではないでしょうか?

新しいものが生まれてくるというよりは、ここ最近の流れが加速すると言った方がよいかもしれません。

「ブレジャー」という言葉をご存知ですか? 「出張」(Business)と「観光休暇」(Leisure)と合わせた造語で、出張とあわせて観光を楽しむ旅のスタイルです。出張先での商用が済んだあと、その地にしばらく滞在して観光を楽しむ旅のかたちで、海外では6~7割のビジネスパーソンが「ブレジャー」を取り入れているのに対して、日本では2割程度だといわれています。今後は「働き方改革」とも相まって、日本の企業が社員に対して「ブレジャー」を推奨する動きが増えると予想しています。

また、個人旅行者については、滞在型・体験型の旅への志向がより強まるでしょう。これまでアジアの旅行者に顕著だった「観光スポットやレジャー施設を巡る旅」から欧米豪の旅行者の間で好まれていた「何もしない贅沢を享受する旅」へシフトするということです。

――国際的なMICEの動向はどうなるのでしょうか?

国境を越えた移動が再開されるには、出国側と入国側の2国の条件がそろう必要があります。そうした環境が整うまでには、少なくとも1年は掛かるだろうと見ています。効率性や費用面の観点から、本会場と参加者をインターネットでつないだ形式でのリアルとウェブを併用したハイブリッド型のMICEも普及していくと思われます。

私の会社はいわば「3密イベント運営会社」ですから、現在は経営的にとても厳しい状況です。とはいえ、これまでの人類の歴史を鑑みても、この混乱がいつまでも続くわけではありません。インターネットを利用したウェブ会議なども広く取り入れられていますが、本当のところは、実際に顔を見たい、会って話したい、生で触れ合いたい、騒ぎたい、というのが人間の本質ではないでしょうか。従来通りの交流や人の移動が戻るのも時間の問題だと思っています。


――最後に、国際的な観光都市を目指すうえで、今後必要となってくる理念やアイデアのようなものがありましたらお教えいただけますか?

これまで観光地に求められるのは「見どころ」「グルメ」「ショッピング」という3要素だといわれてきましたが、今後求められる4つ目の重要な要素が「人」です。

私が出会った訪日旅行者やツアー主催者の多くが、滞在中に特に印象に残ったものとして、日本で出会った人々の親切心やもてなしの心の素晴らしさを挙げています。

市民が創作した数多くの俳句や短歌が毎日のように新聞に掲載されている、あるいは、百貨店の店員がバックヤードに下がるときに売り場の方を向いて一礼する、といった風習や習慣は日本特有のものであり、この国の人たちの細やかな感受性、自然や他人に対する温かい眼差し、そして礼儀正しさの現れだと思います。また、訴訟の数や凶悪犯罪が少ない国、皮膚の色による差別がない国、和を貴ぶ国であることは、観光の目的地として非常に重要なポイントであり日本の強みです。

これからの観光は「Sightseeing」の時代から「Peopleseeing」の時代へと転換していくでしょう。そうした新しい観光のかたちに対応できるように、観光・MICEに携わる一人ひとりが思いを新たにしていく必要があります。そして、「Peopleseeingにいらっしゃい!」というメッセージを、広く世界に発信していくべきだと考えています。

――貴重な情報とご意見をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。

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[取材・編集]  西山健太郎(福岡観光コンベンションビューロー マーケティングマネージャー)

※福岡の “いま” を伝える情報コラム <福岡2020レポート> 
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